批判した側にも、された側にも、「嫌な気持ちになった」という事実だけが残ることがある。それではあまり建設的ではない。
批判の内側にあるモチベーションを言葉にできれば、不快感の正体を少し切り分けられる。何を受け取り、何を受け流すかも考えやすくなる。そのための整理軸として残しておく。
大きく5つに分ける
| 型 | 中心にあるモチベーション | 批判するときの心理 | 関心が向いているもの |
|---|---|---|---|
| 改善型 | より良くしたい | 「ここは直したほうがいい」 | 対象や成果 |
| 規範型 | 正しさや秩序を守りたい | 「それは間違っている」 | ルール、公平性、倫理 |
| 防衛型 | 自分を守りたい | 「自分を否定されたくない」 | 自己正当化、価値観の防衛 |
| 優位型 | 自分の立場を高めたい | 「自分のほうが正しい、優れている」 | 競争、支配、承認 |
| 発散型 | 感情を処理したい | 「とにかく不満を外に出したい」 | 怒り、ストレス |
もう少し細かく分ける
| 大分類 | 具体的なモチベーション | 何をしようとしているか |
|---|---|---|
| 改善型 | 修正したい | 問題のある箇所を直し、成果を良くしたい |
| 失敗を予防したい | 将来起こりそうな問題を先に取り除きたい | |
| 成長を促したい | 相手に気づきや学びを与えたい | |
| 規範型 | ルールを守らせたい | 決められた基準からの逸脱を正したい |
| 公平さを取り戻したい | 不平等やえこひいきを是正したい | |
| 倫理を守りたい | 害のある行為や許容できない行為を止めたい | |
| 集団の秩序を保ちたい | その場の常識や慣習に合わせてもらいたい | |
| 防衛型 | 自尊心を守りたい | 自分の能力や人格が傷つくのを避けたい |
| 価値観を守りたい | 自分が信じてきたことを否定されたくない | |
| 責任を避けたい | 問題の原因を自分以外に置きたい | |
| 立場を守りたい | 権限、居場所、利益を脅かされたくない | |
| 優位型 | 正しさを証明したい | 相手より自分が正しいと示したい |
| 能力を示したい | 知識や経験があることを見せたい | |
| 相手を支配したい | 相手の判断や行動を自分の望む方向へ動かしたい | |
| 承認を得たい | 周囲から賛同や評価を集めたい | |
| 相手の価値を下げたい | 競争心や嫉妬から、相対的に自分を上げたい | |
| 発散型 | 怒りを吐き出したい | 高ぶった感情を外に出して軽くなりたい |
| 八つ当たりしたい | 別の場所で生じたストレスを処理したい | |
| 投影したい | 自分の中の認めたくない部分を相手の問題として扱いたい | |
| 感情への同意がほしい | 一緒に怒ったり不満を言ったりしてもらいたい |
見分けるときは、その人が「良くしたい」のか、「正したい」のか、「守りたい」のか、「勝ちたい」のか、「吐き出したい」のか、と考える。
実際の批判には複数のモチベーションが混ざるし、外から本心を断定することもできない。これは学術的な分類ではなく、相手にラベルを貼るためのものでもない。自分の中に残った感情を整理するための、実用上の分類である。